takaoka
2012年よりパッシブハウス・高性能住宅だけを建築してきて
性能だけでなく自然素材にもこだわりも持って建築しているのはなぜかを考えてみた
CONTENTS
私の中にある昔の家に使われていた素材は何だったんだろうと考えると
生まれ育った家よりもうひと昔前の家の素材を思いつきます
・構造→木組み
・基礎→平らな石の上に柱を建てる石場建て(玉石基礎)
・屋根→茅葺き
瓦
・床 →土間(三和土)
板張り
畳
・壁 →土壁現し
漆喰
板張り
・天井→小屋組現し
板張り
・建具→障子
襖
板戸
この程度の少ない素材ですべて自然の素材で作られた材料で建てられているように思います
現代の建物の多くは新建材と言われる材料で建築されている建物は数多くあります
新建材とは、で調べると『大辞林 第三版』の解説では下記のように書かれている
『新しい材料や製法によって作られた建築材料合成樹脂を材料とするものが多く、
断熱材・壁・床・家具などに用いられるプリント合板・ビニール・タイルの類』
と書かれている
私が思う最近の住宅の素材とは
・構造→木造在来
軸組み枠工法(2×4)
軽量鉄骨
・基礎→ベタ基礎
・屋根→瓦
スレート瓦(セメント瓦)
金属屋根
・外壁→サイディングボード
金属サイディング
木製サイディング
左官塗り壁
・床 →複合(合板)フローリング
無垢フローリング
畳
クッションフロアー
タイル
・内壁→ビニールクロス
左官塗り壁
板張り
・天井→ビニールクロス
板張り
・建具→アルミサッシ(外部)
樹脂サッシ ( 〃 )
既製品建具
造作建具
障子
襖
大きく分けただけでもこんなにたくさんの種類があります
昔の家と比べると商品の選択だけでも時間がかかりそうですね??
当たり前のように一般の住宅によく使われている新建材はいつ頃できたのだろうか?
私がこの業界に入った時はまだ生まれそだった田舎では今ほど使われていなかった記憶がある!!
屋根→スレート瓦(セメント瓦)
1960年頃から製造され、主原料はセメントと石綿(アスベスト)
それを板状にして塗装を施したもの
(アスベスト含有建材は2006年9月から製造・使用等が全面的に禁止)
金属屋根(ガルバリューム鋼板)
1972年にアメリカで開発されアルミニウ+亜鉛合金めっき鋼板
外壁→サイディングボード
1960年窯業系サイディング材誕生
第1次成長期 1975年ツーバイフォー住宅の参入にあわせ
アーリーアメリカン調の住宅の外観デザインが流行
窯業系サイディング材の販売が急成長し
第2次成長期 1990年この時期に窯業サイディング材は
モルタル外壁を抜き低層住宅外壁のトップ
床 →複合(合板)フローリング
1955~表面にプリントや塗装で加工をし銘木の木目などを再現したプリント化粧合板登場
木質だけでなく安価で施工が容易なビニル系タイルやビニル床シートなども多く使用されるようになる
1980代~フローリングと呼ばれるようになり主流となっていく
内壁→ビニールクロス
日本に壁紙の文化が伝わったのは平安時代頃、中国から壁紙としてではなく
屏風や襖、障子などとして使用される
1960年~マンションブームが起こり爆発的に普及するようになる
現在では日本で実際に使われている素材は、大半が塩化ビニールを用いた壁紙(クロス)が主流普及率は9割以上
ドイツ・ベルリン市では、ポリ塩化ビニール等の火災時や焼却処理時に払う
環境汚染に対するコストを「隠れたコスト」であるとして
公共建築でのビニル壁紙の使用を禁止している
建具→アルミサッシ
1931年近三ビル(設計:村野藤吾氏)に鋼製とアルミ製が複合された上げ下げ窓が採用された
1951年には、日本総合銀行(現さくら銀行)でアルミ押出成形法によるアルミサッシが
日本国産として初めて採用される
木造住宅では1960年頃から多くのメーカーがアルミサッシの製造に着手
1964年から住宅用サッシの普及が始まる
2014年日本でシェアの9割を、中国では7割を占めている
断熱性能が非常に悪いことから、アメリカでは全50州のうち24州で使用が禁止されている
樹脂サッシ
1950年代半ばドイツで最初の樹脂サッシが開発される
日本では1976年に発売開始され北海道など寒冷地で採用される
全国的には世界一の生産技術で低価格を実現したアルミ製が圧倒的に強く
樹脂製はまだ普及されていない
新建材の普及していく歴史を調べっていくと日本の1954年~高度経済成長期とともに
地方圏より大都市圏へ人口移動に伴って公営住宅や公団住宅による団地建設などと同時に
新建材が多く使用され現在に至っているのではないでしょか?
今までに海外のパッシブハウス・高性能住宅を視察させていただいて
建物の内外装の仕上げ材は自然素材で造られている建物がほとんどだったと記憶している
では、どんな素材が使われているのかをまとめてみました
屋根→天然スレート
瓦
金属屋根
外壁→漆喰(天然無機質系)
木製サイディング
不燃ボード(セメントと補強繊維が主原料)
床 →無垢フローリング
リノリューム
タイル
天然石
壁 →紙クロス+自然塗装
漆喰
板張り
天井→紙クロス+自然塗装
漆喰
板張り
建具→樹脂サッシ(ペア・トリプルガラス)
木製サッシ(ペア・トリプルガラス)
木製室内建具
ほとんどの商品が自然素材をもとで作られているものばかりで
日本で使われているような合成樹脂を材料としたような仕上げ材は見ませんでした
やはり住まう人の健康や地球環境への配慮などの考え方の違いが大きのでしょうか?
以前、エクセルギーの研究をされている宿谷昌則先生の話を聞いた中で
『皆さんは何らかの建物の中に1日何%いらっしゃいますか?』との問いがありました
実際自分に当てはめてみるとおそらく90%以上は建物の中で過ごしているなと思い
その時の宿谷先生のお話は腑に落ちました
その話とは1日90%を何らかの建物の中で過ごしているとしたら何歳まで行きますか?
仮に90歳まで生きるとしたら1日24時間を約80年間ず~と何らかの建物の中で過ごすこととなり
一生の内たった約10年間を外で過ごしていると言う事となリますね
その建物の室内の温熱環境が悪かったり室中に使われている素材が合成樹脂を材料とした製品の中で
90年間を過ごすとしたらいかがですか?
この話を聞き実際のところ他の皆さんの屋内滞在時間はどうなのかと思い
お客様にも質問をしてみるとほとんどの方が80~90%とと答えられました
ネットで調べてみるとNHK放送文化研究所が5年ごとに実施しているのを見つけましたが
2007年のデーターに『1日に占める屋内滞在時間の割合とその内訳(%)』によると
全体では平日は90% 休日は88%という調査結果が出ていました
社会人ほど屋内滞在時間は長くなっていますね
呼吸をする人間は呼吸をしてくれる自然素材に包まれて生活した方が良いように思います
昔の家の仕上げ材はほとんど自然素材で出来ていましたが
断熱性・気密性もなく温暖な瀬戸内海気候の四国でも冬は寒く暖房しても部屋しか暖かくならない
建て替えを行うとほぼ新建材を使った建物が当たりまえではダメではないでしょうか?
住まう人の健康や地球環境への配慮などを考えるとパッシブハウス・高性能住宅が造り出す
少ないエネルギーで温度ムラの少ない室内空間
そして呼吸をしてくれる自然素材の中で生活できるのが人にも環境にも良いのではと改めて思いました(^^♪