アーキテクト工房 Pure
家を建てるとなったとき、家に求めることは 何ですか。
いろいろ考えますね。デザイン、間取り、光熱費を抑えられる家にしたい。
または とにかく安く建てられればそれでいい。重視する項目は人によって様々。
一生に一度の大きなお買い物といわれるものだからこそ、できるだけ後悔をしたくない。と思うものです。
私もそう思っていました。
私が家を建てたあと感じた、たった一つの後悔。
それは 家そのものの 性能です。
同じ家でも、家によって性能差があるって知っていますか。
しかも その家の性能の違いが 光熱費はもちろん、住む人の健康にまで関わってくるとしたら。
家造りを考える上で、切り離せない事柄になるのではないでしょうか。
一言で ”暖かい家”といっても 自分の知っている(思っている) 『暖かさ』とは違う家があったなら。
一年中、家のどの部屋も 『寒い・暑いを感じない家』が存在します。
家の中で 暖かい、寒いの感覚を感じる事のない家です。
一人暮らしなら、多少の暑さ寒さも我慢できるかもしれません。
ですが家を建てられる多くの方は ご家族と一緒に住まわれます。そんな大切な空間であり
長く暮らす家だからこそ、知っていて選択しなかったのと、知らずに選択すらできなかったのとでは
後悔の大きさも変わってきます。
CONTENTS
私が家を建てたのは、約10年前。
トータルで考えると、家造りについては後悔していません。が、たった一つ大きな後悔。
それはきっと ほとんどの方が当たり前のように 感じていること。
冬、家の中が寒い。そして夏は暑い。
ただ寒いといっても 外気と同じような極寒なわけではありません。 笑
私が家を建ててもらった工務店さんからは
“ご実家と比べると、あったかいですよ! 最近の家は、昔の家に比べて断然 暖かいですから。”
そう聞いていましたし、「安心」というよりは、当たり前の感覚。
どこで建てても、最近の家の性能は 変わりないんだ。という解釈でした。
築35年の私の実家は、冬は外気と変わらないほど寒いですが
こたつに入り、エアコン+ストーブをつければ それなりに「暖かい」です。(※リビングだけの話ですが)
この実家の「暖かい」と比べると たしかに私の家は『暖かい』。
そう前述のこれは 工務店さんが言っていた『暖かい』です。
無暖房の時はもちろん、暖房をONにした時の効きも 実家に比べればよく暖まります。
たしかに実家よりは暖かい。
ここまでしか知らなければ この『暖かい』で 満足していたのかもしれません。
だけど、その「実家より暖かい」ではなく “寒い”を感じない家があったなら。
私は自身の家を建てた後、今まで体感したことのない“知らない世界”を知ることとなります。
大げさに聞こえますが、知らない世界とは 家の中が『夏暑くない 冬寒くない 』の世界。
そして 必要とするのは ほんの小さな冷暖房エネルギー。
実家よりは暖かい私の家ですが、たとえば冬。
特に冬の寒さは 冷え込む朝晩がかなりのストレスになります。室温が17℃~21℃前後。
温度でみるとそうでもない感じもしますが
蓄熱暖房機(25℃~27℃設定)+エアコン(18℃~23℃設定)の二重使い。
それでも ひんやりした空気がどこからともなく やってきます。
暖かさも感じる中での“ひんやり感”は、寒いだけの中にいるよりさらにストレスに…(T_T)
暖房をつけていても寒いと感じる。そうなればやむを得ず設定温度を上げることに。
この設定温度を大きく変えないといけないということは 室内が外の影響を大きく受けているということ。
気温の低い寒い日は、室温も下がる。これって普通と思われがちですが
外の影響を受けにくくすることができていれば、中の熱も逃げにくい家になり、 魔法瓶のような家が存在します。
A 我が家の現状
冷暖房器具/ エアコン5台(冬の稼働数2台)+蓄熱暖房機
屋根・壁・床下の断熱材に、約5cmの厚さの物を使用。
夏/
・2階が外と同じくらい暑くなる(30℃越え)
・各居室にエアコン1台ずつ設置(夏の就寝時は各部屋稼働)
冬/
・暖房ONの時期: 年にもよるが、早朝は10月頃~
・エアコンだけでは暖まらず、プラスの暖房器具は必須
・ エアコン設定温度20℃~22℃/ 室内温度18℃~20℃(1階のリビング内のみ)
・蓄熱暖房機(時間設定あり)設定温度25℃~27℃
・窓際はいつもひんやり冷たい
・暖房をONにしてもどこからか冷気を感じる、足元は常に寒い
・窓の結露は当たり前
B
冷暖房器具/ エアコン1台(12~14畳用)
約20~30cmの厚さの断熱材を使用。 Aとの厚さの差だけでも約15cm程度。
◇一年を通して/ 1階と2階の温度差が1℃程度
夏/
・エアコン設定温度27℃で、全室室温が27℃
冬/
・暖房ONの時期: 年にもよるが12月中旬~
・エアコン設定温度20℃/ 室内温度22前後(1F2F共に)
・室内側に結露がおこらない
大きな違いは、冷暖房設備の違い。
Bは、エアコン一台。そして冬の場合、暖房の付け始める時期も12月以降。
ということは、無暖房で過ごせる時期が長いということ。(それだけ Bは外気の影響も受けていない)
しかも室温は、設定温度を上回る温度に。 そしてBは家中どの部屋へ行ってもほぼ同じ室温。
Aは、エアコン・蓄熱暖房機をONにしても、室内温度が設定温度を上回ることはありません。
人がたくさん増えようと 皆でワイワイお鍋をしようと。
家中の隙間から、冷たい空気と暖まった空気が少しずつ入れ替わろうとするため
どこからともなく 冷たい空気を感じます。
そのため、暖房器は設定温度へ達しようと 休まる事なくフル稼働。
またAは2階も(家中を)暖めようとした場合、稼働数からいうと
光熱費も今の倍以上になることが考えられます。
月々の光熱費と思うと大差ないような気もしますが、月10,000円の差があれば
年間120,000円の差額になり
何十年も住むと光熱費はもちろん、必要台数から考えても冷暖房設備買替えの費用にも違いがでてきますね。
またAはリビング以外の部屋に出ると急に寒い。玄関やトイレ、寝室や脱衣所は寒い。
そういった部屋毎の温度差、そして1階と2階の温度差も3℃以上~になります。
これらは ヒートショック等、身体へのストレスも大きな問題です。
家造りは、住む人の自己満足の世界だと思っています。好み、考え方は人それぞれ。
冬は寒いもの。寒けりゃ上着を重ねればいい。納得の上ならそれもありです。
ですが、これから家を建てるにあたり「家の性能」は何十年も住む場所にとって
外してはならない項目だということ。
私がもう一度家を建てられるなら、同じところで家を建てるか。と考えると・・・答えはNOです。
10年前に建てた家だから、性能なんて関係ない時代か。とも考えましたが
海外では 家や窓の性能基準が決められていたり
また日本でも10年前には、世界基準の‘パッシブハウス’が建てられています。
既に10年前でも、私の“知らない世界”の家があって そして現在でも
建てるところによって大きな“性能差”がある。
たとえ同じものを使っていても、施工方法の違いで“性能差” がでることも。
自身の家の寒さ暑さで後悔をした私が、もう一件家を建てられるなら
・完成見学会に何回も行く。(実際の空気感を知りたい。冷暖房設備は?)
・構造現場を見せてもらう。(見えない所の丁寧さ。断熱気密の施工をみせてもらう)
・気密測定をしてもらう。(これは数値でしか測れません!)
・体感宿泊もあるならぜひ。(実際の室内の空気感、室温の変化が知りたい)
・OBさんのお話を聞かせてもらう。(実際に住んでいる人の声が一番、体感、光熱費)
体感宿泊は施設の有無の問題もあると思いますが、構造見学、気密測定をしていないところがほとんど。
「高断熱・高気密です!」とうたっているなら、なぜ行なっていないのでしょうか。
数字で分かることと、体感でしか分からないことがあります。
暖かいの基準は、自分が経験したことのある体験でしか測れないもので、またその上限も 自身の経験により変わります。
トリプルサッシなんて愛媛県でいります?!って聞かれますが、それはトリプルサッシを体感していないから
疑問に思うのであって、体感すれば 自身でそれが必要かどうか判断もできます。
自身の体感に勝る判断材料はないです。
自分の思う 『暖かい家』が自分の“知らない世界”なのかどうか。
ぜひ体感を。