Pureコラム
PURE COLUMN

パッシブハウス(高性能住宅)へのこだわり

takaoka

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2012年よりアーキテクト工房Pureではすべての新築住宅の断熱・気密性能を

パッシブハウスもしくは高性能住宅で建て続けています

何故そこまでしてパッシブハウス・高性能住宅こだわっているのか?

パッシブハウスとの出会い

パッシブハウスとの出会い

私が初めてパッシブハウスと出会ったのは

2009年10月にクラブヴォーバンさん主催の視察ツアーに参加させて頂いた時です

フライブルク在住の環境ジャーナリスト村上敦さんの案内でフライブルクに建っている

パッシブ・ハウスを見たのが初めての出会いでした

 

パッシブハウスの説明を聞くのと同時にサッシのガラスがトリプル(3枚ガラス)

ですとライターを使って『ライターの炎が3つ見えるでしょう』


と言われ初めてのトリプルガラスとの出会い

 

そしてヴォーバン地区に建っているパッシブハウスの建物視察


この時初めてパッシブハウスを体感することになります

もう一つ聞いた言葉が『付加断熱』この時この言葉も初めての出会い


そしてその断熱材も木の繊維で出来ているウッドファイバーこの断熱材も初めての出会いです

このツアーで初めての出会いがあまりにも衝撃が大きくてカルチャーショック

 

社内研修でパッシブハウスを視察

2009年に村上敦さんに初めてパッシブハウスを案内していただいてのですが

どうしても社員にもパッシブハウスを知ってもらいたい

それ以上に私ももう一度見たいと言う思いで

2010年6月にアーキテクト工房Pure社内研修ツアーを

地元松山の旅行会社に頼んでベルリンまで行ってきました

いつもお願いしている旅行会社の添乗員Nさんに

『ドイツにパッシブハウスと言う建物があるのでどうしても見たい』

と建築のことは全く知らないNさんがベルリンの両代理店を通じて

何とかアテンドしてもらいました

通訳の方には来ていただいていたのですが専門用語は全く通じず身振り手振りで

会話をした記憶があります

視察させて頂いたってものは設計士さんの自邸でした

やはり窓はトリプルサッシで壁の断熱材は柱の外に付加断熱されていました

最初に出会った時とはまた違う目線でパッシブハウスのことを見れたこともあり

ますます興味を持ちどんどんはパッシブハウスの魅力にまり込んでいきました

 

森みわ氏との出会い

私がパッシブハウスに出会って次に出会ったのが

森 みわ氏パッシブハウスジャパン代表理事)です

当時アーキテクト工房Pureは某フランチャイズに入っており

その時の定例会でセミナー講師として来ていたのが森みわ氏です

この定例会の1ヶ月くらい前にサッシメーカーの営業の方から

『世界基準のいい家を建てる』と言う本が出版されているをご存じですか?

とこの本のことを教えてもらいました

その本の著者が森みわ氏だったのですが今度開催される定例会のセミナー講師と同じだったのです

日本にもパッシブハウスが建っていることをこの時初めて知りました

すぐに『世界基準のいい家を建てる』を注文して本人と会う前に読みました

読んでいるうちにどんどんパッシブ・ハウスの良さが伝わってきて

日本がとんでもなく性能の面では遅れていることも知りますます興味を持ちました

森みわ氏と初めて出会い直接パッシブ・ハウスの話を聞きました

その後迷うこともなくパッシブハウスジャパンに賛助会員として入会

森みわ氏との出会いの後も『世界基準のいい家を建てる』はその後も何度も読み直しています

 

アーキテクト工房Pure事務所をパッシブハウスで建築

森みわ氏と出会いパッシブハウスジャパン賛助会員として入会

森みわ氏企画の省エネ建築ツアーに参加している中で

以前から自社事務所を建てる計画があり建築予定地も決まり

どんな事務所を建てようかと考えていましたが

体感宿泊ができるモデル兼事務所をパッシブハウスで建てよう

そしてパッシブハウスの良さをこれから建築を計画されている方々に知ってもらおう

この思いが強くなり設計をいつもお願いしているプラン・リーブル高岡氏

パッシブハウスでの設計をお願いすることとなりました

お願いしますと言っても高岡氏もパッシブハウスは設計したことがなく

まずは本場で本物の見をもらいたくて森みわ氏率いる省エネ建築ツアーに参加してもって

パッシブハウスの事を知ってもらい体感宿泊型モデル兼事務所の設計がスタート

基本計画は出来上がりパッシブハウスになるかどうかわからないために

鎌倉にある森みわ氏の事務所まで図面と模型をもって二人で出向いて行きパッシブハウスになりますか?

断熱構成など全くわからないまま森みわ氏に相談

何とかなるかもしれないと言う事でコンサル契約を結び本格的にパッシブハウスの事務所計画がスタート

西日本初のパッシブハウスそして日本初のパッシブハウスの事務所の予定

 

断熱構成として

・基礎外周  EPS100㎜

土間下 EPS100㎜

・壁  ウッドファイバー200㎜

・屋根 ウッドファイバー300㎜

・窓  木製トリプルサッシアルミクラッド

・換気 スティーベルLWZ-270

 

上記に決まり最後は森みわ氏よりGOサインが出れば着工できる状態になったのですが

一向にGOサインが出ず気になって電話を入れると

〝あれ、まだ着工してなかったの?・・・との返事です

森みわ氏が冗談で言っていた

〝ほったらかしプランもあるよ!! ”

まさにこのコンサル契約だった様で慌てて工事着手しましたね

 

基礎工事に着手しても基礎外周部と内部土間上に30㎜程度の断熱材を施工したことはあっても

100㎜の断熱材の施工は初めてでそれまでに秩父パッシブハウス茨木パッシブハウスの施工写真を

ホームページで見て基礎業者さんと施工打ち合わせを行い無事基礎は完成

上棟後すぐに輸入の木製トリプルアルミクラッドサッシが現場に搬入されました

とてつもなく重いサッシで荷降ろしだけでも一苦労です

 

問題発生

この木製トリプルサッシどうやって取り付けるの??

今まではアルミ樹脂複合ペアガラスサッシだった為

アルミのフィン(耳)も無くおまけに施工説明書も無いし、もし有ってもドイツ語だった読めないし

サッシと一緒に入ってきている部材などどこに使っていいかもわからないしで困り果てて

森みわ氏に相談すると秩父パッシブハウスを施工したた  高橋建築㈱ 高橋社長に声をかけていただき

高橋建築さんの2名の大工さんが木製トリプルサッシの取り付け指導にかけつけていただきました

この時は本当に助かりました “ありがとうございます”

 

木製サッシの次に入荷したのは北海道から運ばれてきた木の繊維でできた断熱材ウッドファイバーです

JR貨物で松山駅まで運ばれてそのままトラックで現場入りです

一度には現場にも入らないので2回に分けましたがそれでもその材料の多さに

社員・職人さんも“この断熱材を全部壁・屋根に施工するの??( ゚Д゚)”

ウッドファイバーも初めて施工するので職人さんに熱橋部の施工を特に丁寧に行っていただきました

あんなに沢山あった断熱材もきれいに壁充填、付加断熱、屋根にと入りきってしまいました

 

断熱材の施工が終わると次は気密シートの施工です

気密シートなど今までに施工したことも無いので

施工をお願いしたのは外壁にいつも3mの透湿防水シートを透湿防水シートを施工してもらっている

職人さん(現在社員)にお願いしました

気密テープはいくら使ってもいいし時間はかかってもいいからとにかく隙間をなくすことをお願いして

気密シート張りと気密テープ貼りが無事完成

 

気密シート施工の次は気密測定です

今までは計算で数値が出ている部材を施工したらいいのですが

気密測定は実際の気密シート施工の結果が測定数値ででます

日本の測定結果はC値(相当隙間面積)と呼ばれ

建物全体にある隙間面積(cm2)を延床面積(m2)で割った数値で表記されますが

パッシブハウスで言う気密性能は気密ラインの内側で囲われた有効気積を計算し

50Paの差圧をかけた時の空気の漏れに対する値となり

減圧法と加圧法の2つの測定方法の平均値の値で測定し一時間に0.6回以下となるのが条件です

C値で言うと約0.2㎝2/㎡以上の性能が必要です

初めての気密シート施工での測定で何とか0.6回以下を出すことができました

これで初めてパッシブハウスの条件が整ったと言う事で施工に携わってもらって方々も一安心

工事も順調に進んで無事竣工を迎えました

 

初めてのパッシブハウスへの挑戦によって体感宿泊ができるモデル兼事務所が完成

完成してからは社員のみんなは実際日々の業務で体感

建築計画中のお客様は打ち合わせの時に体感

体感宿泊をされたお客様は夜から朝にかけてを体感

多くの方にパッシブハウスの良さを体感していただいております

 

パッシブハウス・高性能住宅は建築費は高い?

パッシブハウス・高性能住宅の快適性はなんとなく判って頂けたかっと思いますが

建築費が高いんじゃないの?て思われている方が殆どではないでしょうか?

はい、決して安くはありません

 

平成25年省エネルギー基準と比べて(Ua0.87W/㎡・k)

・断熱材は約2倍~2.5倍

・窓もペアガラスから木製トリプルもしくは樹脂トリプルガラス

・24時間換気についても第3種換気より第1種熱交換換気

最低でも上記3種類の仕様は変更しないといけないのでそれなりの費用は掛かってしまいます

では、ランニングコストではどのくらい違ってくるのでしょうか?

 

建物燃費ナビでシュミレーショーンしたものを見ていただきましょう

パッシブハウス認定の『大間の家』を間取りは同じで仕様を変えて計算してみました

 

 

《省エネルギー基準》(Ua値0.87W/㎡・k)

断熱仕様 屋根:120㎜(ウッドファイバー)

外壁:100㎜(ウッドファイバー)

基礎: 30㎜(EPS基礎外周)

サッシ  アルミペアガラス

換気   第3種換気

太陽光発電システム  4.4KW/h

太陽熱温水システム

 

・計算結果

Ua値:0.7W/㎡・k

年間暖房負荷(20℃)→86.54kwh/㎡

年間冷房付加(25℃)→59.60kwh/㎡

年間光熱費シュミレーショーン→148.946円

 

 

《パッシブハウス基準》

断熱仕様 屋根:300㎜(ウッドファイバー)

外壁:200㎜(ウッドファイバー)

基礎:120㎜(EPS基礎外周)

 

土間: 50㎜(EPS)サッシ

アルミペアガラス

換気   第1種熱交換換気

太陽光発電システム  4.4KW/h

太陽熱温水システム

 

・計算結果

Ua値:0.258W/㎡・k

年間暖房負荷(20℃)→12.92kwh/㎡

年間冷房付加(25℃)→21.16kwh/㎡

年間光熱費シュミレーショーン→▲21.165円

 

上記が省エネ基準程度の性能とパッシブハウスとの性能差になりましたが

年間光熱費シュミレーションの差額計算すると

148.946円(省エネ基準)-▲21.165円(パッシブハウス)=170.111円

同じ生活をしたら1年間で17万円もの差額が出ました

ではこのお家に50年住み続けるといくらの金額の差が出るのでしょうか

170.111円×50年=8.505.5550円

とんでもない金額の差が出ました

もし購入する電気料金が高くなったとするともっと大きな差額が出るということになりますね!!

 

 

光熱費だけでの差額ではなく冷暖房機器の取付台数も変わります

パッシブハウス基準の場合6帖用~8帖用の機器が1台有れば快適な室内空間をつくることができますが

省エネルギー基準のお家で同じ条件にする為には4台~5台の冷暖房機器は必要となります

新築時必要な機器設置も3台~4台の差が出ますし

10数年後の機器取替台数の事も考えると50年間同じ条件で取り換えたとしたら

初期設置時を含めると最低3台程度の機器を4回は取替となり全部で12台の機器を取替たこととなります

1台10万円程度の機器だとしても10万×12台=120万円は必要な計算となります

50年間での光熱費差額約850万プラス冷暖房機器の取替費用約120万だけでも合計をすると

970万円の金額となってしまいます

省エネルギー基準からパッシブハウス基準に性能を上げるたとしても970万円もの費用は掛かりません

実はパッシブハウスの方が住み続けた後のことまで考えると安価な建物だと言う事がわかりますね

 

 

大間の家に住んでみて

2016年12月よりパッシブハウス認定を受けた大間の家に住んでいます

実際に住んでみての感想

冬:室温21℃~22℃(家中どの部屋も温度差はほとんど無し)

夏用の掛け布団で冬も寝ている(1年中同じ布団)

就寝時に布団に入っても布団の冷たさを感じない

寝つきが良く深い眠りが出来ているように思う

夜中にトイレに行くのにも朝起きるにもすぐに布団から出れる

バスタブの貯湯温度が40℃(入居前に住んでた家は42℃)

夜お風呂から出た後も半袖のパジャマで過ごしている

大きな窓の前に座っていても寒さを感じない

風邪などをひかなくなったような気がする

 

夏:室温26℃~28℃若干2階の方が温度が高い

夜中に暑くて目が覚めることがない

風呂上がりに汗をかきにくい

料理をしていても暑さを感じない

食材を冷蔵庫に入れてなくても傷みにくい

 

全体的に

冬も夏も外から玄関の中に入るとホットする

冬用の寝具・暖房器具などが必要なく収納が他のものに使える

洗濯物がよく乾き1年中室内干ができる

冷暖房費用が掛からないので光熱費のことを考えなくてよくなった

暑い・寒いと家の中で考える必要がなくなった

家に帰るのが楽しみ

 

以前のお家と比べての感想ですが、まだまだ沢山あると思います

 

OBさんの声

パッシブハウス性能に近い高性能住宅に住んでいただいている

OB様からのアンケートをまとめてみました

・健康面について

風邪をひきにくくなった

肩こり、頭痛など少なくなった

花粉症、鼻炎など和らいだ

子供の病院受診回数が減った

子供が喘息傾向だったが吸入も薬も使わなくなった

温度差がないことが体の負担を減らすのだと感じた

 

・快適性について

ただ今の次に出る言葉が「涼しい」

玄関まで涼しく家中どこに行って快適

温度差がなく家中活動できるので家にいるのがとても楽しい

布団も薄手のもので大丈夫だし厚着の必要もありません

夜中のトイレや起床も寒さが苦になることはありません

外の寒さに毎朝ビックリ

同じ家でも断熱性能によってこうも違うのかと驚き

12月27日年賀状書いてますがいつ頃から暖房入れたらいいですか?

 

OB様のアンケートには同じ内容が沢山書かれていて

皆さん健康で快適に過ごされている様子が良くわかりました

 

 

温暖な地域にこそパッシブハウス、高性能住宅を

パッシブハウスと出会い数棟のパッシブハウス認定物件も建築させて頂き

多くの高性能住宅を建て続けていますが

イニシャルコストとランニングコストの差

実際に住んでみての実体感

OB様の健康面、快適性についての感想などを聞いていると

やはりパッシブハウス・高性能住宅でなくてはいけないと改めて感じます

瀬戸内海式気候で年間を通じて天気や湿度が安定している愛媛県

ほんの少しの性能UPで高性能な建物を造ることができ快適な生活を送る事ができます

又、地球環境にも優しく地球温暖化の防止もできるのに高性能で無くてもいいという理由がありません

今後もパッシブハウス・高性能住宅を作り続けていきたいと考えております

 

 

2020年03月06日パッシブハウス| 投稿者:takaokatakaoka

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