時代の変化とともに、お家による健康被害も変わる

※※このブログは、新建新聞社さんの

「あたらしい家づくりの教科書」を

参考にして書いています。※※

シックハウス症候群

空気の質の変化が住まいのリスクの一つとしてあるようです。

70年代からお家に使われ始めた木材やサッシが、

それまで普通に存在していた隙間風を少なくしてくれました。

しかし今度は私たちが意識しないうちに、

室内で発生した化学物質の濃度が極端に高くなり、

その結果、90年代にシックハウス症候群という病気を引き起こしてしまいました。

※シックハウス症候群についてはこちら！

このため2000年頃、

広域かつ集中的な実態調査が行われ、

室内空気質濃度の実態が明らかになりました。

室内空気質濃度の実態を受けて

室内空気質濃度とは、

室内に何の物質がどれだけ存在しているかを示す濃度です。

人が室内に存在している化学物質を一生涯受けたとしても、

健康への有害な影響を受けないであろうという

判断により、室内空気質濃度の結果から

化学物質の室内濃度指針値も設定されています。

さらに2003年、

室内空気質濃度の結果をもとに、

原因物質の一つである

接着剤や塗料に含まれる

「ホルムアルデヒド」

という化学物質の低減方策が

建築基準法によって義務化されました。

厚生労働省が示した指針によると、

室内濃度が0.08ppm相当以下が

健康上好ましいとされています。

例を挙げて説明すると、

身近なところでタバコを1本吸った場合、

ホルムアルデヒドの濃度が0.08ppmを越えることがある

と言われているので、

対策を何もしなかった場合

思った以上に厳しい数値となっています。

これほどの数値なので、

低減方策が義務化されてからの問題の程度は

かつてに比べると

相当小さくなったといいます。

対照的に健康被害が増えたものも

シックハウスによる健康被害は

少なくなってきていますが、

対照的にダニやカビといった

微生物による健康被害が増えています。

それはなぜか？

まずカビは、高断熱・高気密なお家が日本ではまだまだ普及しおらず、

高断熱・高気密ではないお家で多く発生しているからです。

高断熱・高気密なお家では起こりにくい

結露や木の腐食によって

カビがより発生しやすくなります。

詳しくはこちら

ダニは、人の食べ物をエサとしているものもいるためです。

じゅうたんやカーペットに食べカスを落としてしまう

という経験はないでしょうか？

ダニはじゅうたんやカーペットに潜んでいることが多いので、

そこに食べカスを落とすという行為は、

ダニにとっては嬉しいことです。

最近では、食べ物の残飯なんかも多く、

ダニが住みやすい環境が整ってしまっていると思います。

東日本大震災の仮設住宅でも、

ダニによる喘息被害が多発していることが報告されています。

また、アレルギーの外来治療で有名な病院でも、

最も原因として大きいスギに次いで、

ほとんど変わらないレベルで

ダニがアレルゲンとなっていることを報告しています。

「行く川のながれは絶えずして、しかももとの水にあらず。

よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとどまることなし。

世の中にある人とすみかと、またかくの如し」。

（訳：川の流れは絶えることはなく、

それでいてそこを流れる水は、同じもとの水ではない。）

鴨長明が800年ほど前に

世捨て人となった際、

山奥で交わりを絶って世間から逃れて暮らした時の心情を綴った詩です。（方丈記）

この詩のように、

基本的に私たちの日常は儚いものでした。

そのためか私たち人間は、

より安全・安心を求めて暮らしは変わり続けています。

経験的にしか安全を考えられなかった頃と異なり、

今私たちは格段に安全な世の中を生きています。

しかしながら、地震や水害、台風などの

自然がもたらす災いがいきなり訪れることは

今までの経験や知識で十分承知だと思います。

地震や水害、台風などは

自然災害なので対策が限られます。

シックハウス症候群やダニ・カビ

といった日常生活に潜んでいる

健康な生活を脅かすリスクは、

技術の進化により

選択次第で防げるものへと変わってきているのです。

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