現場監督やまもとの現場日誌 No.49
今回は、前回のブログ
の最後に出てきた『土壁の秘密』についてご紹介していきたいと思います!
田野上方の家では
壁の中の構成は
下の図のようになっています。
特徴的なポイントが
土壁が約55㎜があるということ。
新築のお家では
土壁が入るところにも断熱材が入れられ
断熱性能を向上しています。
しかし、田野上方の家では
既存の土壁を残して
断熱材で挟んむという工法を選択しています。
その理由が
土壁がもつ断熱性能とは違った
『秘密』があるからなのです。
熱に関する性能については
良く耳にするのは『断熱性能』ではないでしょうか?
断熱性能とは・・・
簡単に表されいるのは
『熱の伝わりにくさ』です。
熱貫流率や熱伝導率などで表される性能になります。
お家の場合だと、外からの熱の影響をどれだけ内側に受けにくいかを示されています。
他にも熱に関する性能として
『蓄熱性能』と呼ばれるものがあります。
この性能は、熱をどれだけ蓄えられるかというものになります。
身近なものに例えると
フライパンと土鍋を比較してみましょう。
フライパン→熱しやすく、冷めやすい
土鍋→熱しにくく、冷めにくい
どちらが蓄熱性能があるのかというと・・・・
『土鍋』になります。
つまり、蓄熱性能が高いと
温めにくく、冷めにくいということになります。
この性能が断熱性能と合わせて
注目されている性能になっています。
蓄熱性能を検討するとき
良く使用される表に以下の表があります。
(出典:材料の熱定数表、試して学ぶ熱負荷HASPEE、空気調和衛生工学会 2012年)
今回は、単位や用語については詳しい紹介はしませんが
この表では、
材料ごとの断熱性能と蓄熱性能が分かるようになっています。
蓄熱性能を示すのは、
『容積比熱』というところになります。
表から読み取ってみると、
土壁→1100 J/(L・K)
ロックウール→67 J/(L・K)
と以上のような数値が読み取れるかと思います。
単純に考えると
土壁は、ロックウール(断熱材)の
約16倍もの熱を蓄えることが出来るということです。
ここが土壁を採用しているポイントになります。
熱は断熱材に比べて伝えやすいですが、
熱エネルギーを蓄えられることによって
特に冬になると太陽の熱や室内で発生した熱を蓄えることができるので
暖房負荷が少なくなることが期待されています。
パッシブデザインと呼ばれる自然エネルギーを活用した
設計手法の中に
『断熱』
『集熱(日射取得)』
『蓄熱』があります。
これら、3つのバランスが
夏涼しい、冬温かい
快適なお家づくりを実現してくれます。
断熱性能だけ高くても
冬、太陽のエネルギーを取り入れないと
機械設備だけに頼った暖房となり、光熱費がかかってしまいます。
また、蓄熱性能だけを高めてしまうと
夏場、熱が保たれた状態が続いてしまうため
冷房しても温度が低下しづらい環境になってしまいます。
集熱(日射取得)に関しては、
断熱・蓄熱性能がなければ
そのエネルギーを保持することができず
すぐに外へと逃げてしまいます。
偏ってしまうと
逆効果もあるので、しっかりと
与える影響を考慮して
構成を考えていく必要がありそうです。