※※このブログは、新建新聞社さんの
参考にして書いています。※※
「体も心もリラックスできる」という
快適な環境とは、体全体からムリなく放熱できる空間だということを
お話してきました。
そこで今日はさらにもう一つ、
「温度のムラが小さい」
という快適な温熱環境の条件について
お話します。
実際の空間において、空気や放射の温度は
均一ではありません。
「足元周りの温度が低い」
「風通しが良すぎて温度差が激しい」
「床が冷たい」
というような「温度ムラ」があると、
体全体の熱バランスが取れていたとしても
不快に感じてしまいます。
次のグラフは、
「アメリカ空調学会」のデータをもとに
作成したもので、
縦軸が不快に感じる人の割合で
横軸は、
・頭と足下の温度差[℃]
・コールドドラフト[m/s]
・床温度[℃]
・放射温度[℃]
をそれぞれ表しています。
頭と足下の温度差では、
温度差が増えていくほど
不快だと感じる人が多くなっていて、
3℃までの差だったらあまり不快と感じにくい結果になっています。
コールドドラフトとは、
暖かい室内の空気が冷たい窓ガラスに触れて冷やされ、
床に冷たい空気が下がってくる現象です。
こちらでは、風の速さが早くなるほど
不快だと感じる人が多くなっていて、
1秒につき0.15mまでの速さだったら
あまり不快と感じにくい結果になっています。
0.15mは、天気予報でよく目にする強さ
(1~4mほど)よりもかなり弱い数値です。
床温度では、
気温と同じように
床温度が低くても不快に感じ、
高くても不快と感じやすくなっています。
19~29℃の間だったら不快と感じにくい結果です。
放射温度のムラ、
つまり周辺物の温度差が大きくなるほど、
不快に感じる人が多くなっています。
特に、「熱い天井」が最も不快に
感じやすいのは、
熱くなった天井から放出される熱が
頭をあぶるからです。
頭が冷たく足が暖かい方が快適とされているので
このような結果になってしまいます。
また、「冷たい壁」が不快だと多くの人が
感じてしまう理由は
特に「窓」にあります。
冬場に窓の冷たいガラス面の近くにいると、
窓側の体の面が冷たく感じるといった
経験はないでしょうか?
熱は高いほうから低いほうに移動しようとするので、
低温のガラス面が人の体から放出される熱を
どんどん奪ってしまうため、
体の熱が急激に低くなってしまうのです。
家族がリラックスでき体を健康に保て、
ずっと居続けることができる空間。
これが最上の快適環境です。
暖冷暖房の力だけでは実現できません。
ぜひ、性能にこだわって、
最上の快適空間を手にいれましょう。
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