※※このブログは、新建新聞社さんの
参考にして書いています。※※
冷暖房器具を検討する前に、
まず設計でできることがあるのでご紹介します。
それは太陽と風を生かすことのできるパッシブデザインです。
※パッシブデザインとは、
機械や設備ではなく、建築的に自然エネルギーをコントロールして、
温熱環境を整えようとする設計手法です。
夏と冬とでは、太陽の角度が違うので、
まずは夏と冬の太陽の角度の違いを計算して
冬だけ太陽が直接温めるようにする工夫が必要です。
そうすることで、暖房機器の使用を抑えることができ、
効率的にお家を温めることができます。
逆に夏は庇などで太陽の熱をカットできていれば、
冷房機器の使用を抑えれて
光熱費の削減に繋がります。
気密性能が上がると、これまでは暖房器具としてはあまり頼りなかったエアコンが、
一軒家や寒冷地でも、メインの暖房として使えるようになります。
空気自体を温めたり冷やしたりする機器なので気密性能があまり良くないお家では
効きがどうしても悪いことが多いです。
暖かい空気は上に行ってしまうので、
頭だけ熱くなってボーっとしたり、
乾燥がひどくて苦手な人も多かったりするのではないでしょうか?
暖房をすべてエアコンで賄おうとすると、
上記のような症状が現れてしまうこともあり、
拒絶反応を起こす方も少なくはないそうです。
でも、それはエアコンがどうこうというよりも
「家自体の性能があまり良くないことで起こってしまっていた」、
というのが背景にあります。
なので高性能なお家であれば
そのようなことがあまりなく、
快適な生活をおくりやすくなります。
そのようなことから、
1台で夏・冬・梅雨期の全てに対応できるエアコンは、
光熱費と初期費用の両方において非常に優れた冷暖房機器であると言えます。
エアコン以外にもうひとつオススメなのが、
「煙突付きの灯油ファンヒーター」です。
煙突付きの灯油ファンヒーターとは、
簡単に言えば、換気の手間があまりいらないストーブです。
燃焼に必要な空気は給排気筒と呼ばれる空気が通る煙突から室外の空気をストーブに入れ込み、
燃焼後の燃焼ガスは同じように給排気筒から室外に出す
という仕組みになっているので、
空気や燃焼ガスの通り道は煙突です。
そのため、暖房中もお部屋の空気を汚さずに暖かくできるのです。
煙突ありの灯油ファンヒーターについてお話ししましたが、
煙突なしの灯油ファンヒーターはどうでしょうか?
煙突のないファンヒーターを見たり使ったりしている方は
次の注意書きを一度は目にしたことがあると思います。
「30分に一度は必ず換気してください」
この注意書きの意味を考えてみます。
まず、煙突がついていない灯油ファンヒーターは
どこに燃焼ガスを排出しているのでしょうか?
それは室内です。
煙突がついていない灯油ファンヒーターは、
空気を室内から取り込み、排気も室内にするという仕組みになっています。
技術の進化により燃焼の仕方が改良されているので、
昔の石油ストーブほど臭いはしませんが、
臭うということに変わりはなく、室内の空気を汚してしまいます。
その汚れの中で代表的なものが一酸化炭素です。
一酸化炭素と聞くと一酸化炭素中毒を思い浮かべるのではないでしょうか?
煙突がついていない灯油ファンヒーターを密閉した空間で使用すると、
一酸化炭素中毒になるリスクが大きくなってしまいます。
なぜなら、
①赤血球にはヘモグロビンと酸素があり、
ヘモグロビンは通常、酸素を体内に運ぶ役割もしてくれます。
②しかし、一酸化炭素がその2つと強く結びついてしまうと、
一酸化炭素の方がヘモグロビンよりも強い立場にいるため
赤血球から離れなくなりそのまま占領してしまいます。
③その後、酸素を体内に運ぶ時に
ヘモグロビンが酸素をきちんと運べなくなってしまいます。
④結果、息ができても窒息してしまう。
という恐ろしい結果になってしまうからです。
まさに、たき火を室内でやっているようです…
さらに気密性能が高いお家では、
気密性能が高くないお家よりも
密閉度が高まるので一酸化炭素中毒の
危険性も格段に上がってしまいます。
これらのことからあまりオススメはしません。
「30分に一度は必ず換気してください」
煙突なしの灯油ファンヒーターを使用している人で、
この注意を守っている人はどれぐらいいるでしょうか?
30分に一度換気をしていては
せっかく温めた空気をお家の外に逃がしてしまうので
また温め直すことになり、
快適とは言えません。
気持ち的にもストレスを感じてしまいます。
寒くなるのが嫌だからといって、
換気を怠っては一酸化炭素を体内に取り込んでしまい
健康に良いとは言えません。
快適で健康に良い生活をするためには、
その機器を購入する前に
「自分のお家にあっている冷暖房機器は何なのか」
「メリットとデメリットは何か」
ということはもちろんですがもう一つ、
「健康で快適で、ストレスのかかりにくい生活をするにはどうしたら良いか」
ということを加えて考慮してから購入することが
快適な生活への近道になるでしょう。
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