新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で
換気の重要性が問われるようになってきています。
先日の学校でも
窓は全開で、空調が効いている
異様な環境となっていました。
日中はまだいいもの
日が暮れるにつれ、外気温が下がってくると
空調で室温が補えなくなり、
寒い空間になってしまいます。
換気、どこまで必要なのでしょうか。
重要となってくるのが、
『必要換気量』というものになります。
換気が必要な量というものが定められています。
過去のブログに詳しく書いていますので
興味のある方はこちらから
建築基準法では
一人あたり、20m³/hが必要な換気量とされています。
これに
床面積(㎡)にかけたものを
一人の占有面積(㎡)と呼ばれるその人が必要な有している面積で割ると必要換気量を導き出せます。
今回は、弊社の事務所を例に挙げてみたいと思います。
事務所部分の床面積:65㎡
事務所においての占有面積:5㎡
以上の条件で必要換気量を求めると・・・・
20×65/5=260m³/hとなり
一時間あたりに260m³の空気の入れ替えが必要ということになります。
他にも必要換気量を求める方法があり
その求められた値以上にすることで
コロナウイルスの感染を確実に予防できるとは言えませんが
『換気の悪い密閉空間』ではなくならすことが出来るのです。
3密のうちの1つ『密閉』を換気によって
当てはまらないようにすることができるのです!
ちなみに弊社の換気システムで
現在主に使っているのは、
『DOMEO』と呼ばれる
第一種熱交換換気システムになります。
弱・中・強の三段階で換気量を調整することができ、
初期設定では
弱・・・125m³/h
中・・・155m³/h
強・・・190m³/h
となっており、最大で230m³/hまで換気できる機械になっています。
家の規模によって必要な換気量が変わってくるため
換気量は換気回数として変換されて、以下のような数値で設定されています。
弱・・・0.25回/h
中・・・0.35回/h
強・・・0.5回/h
(強運転の場合、2時間で家全体の空気が1回入れ替わる数値になっています)
ちなみに窓を使った換気では
2回/hが水準されており
一時間に2回以上数分間窓を開けて換気した時の数値になります!
※一時間で2回窓を開けるというわけでは無く、一時間で家の中の空気が2回分入れ替わるという指標になります。
そう考えると、
教室が窓を開いたままにしているのは納得です。
人が多く集まり、長時間滞在している場所においては
空気汚染も早く進行するため
常に換気を促しておく必要があるということですね。
3密のうちの1つ『密閉』を換気によって
取り除いていきましょう!
現場監督やまもとの現場日誌 No.44
換気は、
室内の空気汚染を防ぐために
新鮮な空気を取り入れて
汚れた空気を出すために
行われます。
新鮮な空気を取り入れる量を
『必要換気量』と呼ばれて
どれだけの空気を入れ替えないと
いけないのか指標が設けられています。
今回は、
その必要になってくる換気量と
換気の回数について
ご紹介させていただきます。
必要になってくる換気量を知るには
空気を汚染している物質の濃度が1つの指標になってきます。
今回は『二酸化炭素』の濃度に着目した
換気量の求め方になります。
外の二酸化炭素の濃度:Po
中の二酸化炭素の濃度:Pi
発生する二酸化炭素 :k
換気量 :Q
上記の記号で
二酸化炭素の換気について表していくと
Po×Q(外から入ってくる二酸化炭素)に
k(室内で発生した二酸化炭素)を加えたものが
Pi×Q(外に出ていく二酸化炭素)と等しくなることが
必要な換気量とされています。
以上の関係から
換気量Qについて導き出した式を
『ザイデルの式』といいます。
二酸化炭素や空気を汚染させるものには
前回3つほど紹介させていただきました。
その中でも換気が大きくかかわってくるのが
燃焼器具と呼ばれるものになります。
原料を燃やして
暖かくする機械は
そのまま室内に二酸化炭素や排ガスを
充満させる恐れがあるので
換気を考えないといけません。
燃焼器具にもタイプがあり
・開放型
・半密閉型
・密閉型
の3つがあります。
給気 | 排気 | 換気量 | |
開放型 | 室内 | 室内 | 廃ガスの40倍以上 |
半密閉型 | 室内 | 屋外 | 廃ガスの2倍以上 |
密閉型 | 屋外 | 屋外 | 換気の必要なし |
上に簡単にタイプ別の特徴と換気量をまとめています。
各タイプの代表機器は・・・・
開放型
石油ストーブやコンロ。
半密閉型
煙突付きストーブ。
密閉型
FF式(強制給排気式ファンヒーター)。
とあり、ガスをどこに排出してどこから空気を取り入れているかによって
必要な換気が変わってくることを知っておく必要がありそうです。
換気の量が分かると次は
換気の回数について着目していきます。
一時間に何回空気が入れ替わっているのかを示したものを
『換気回数』と言います。
この換気回数は
必要な換気量を室内の容積で割った値になります。
※容積とは、一般的に床面積に天井の高さをかけた空間の大きさのことを表します。
気密性能がない昔ながらの家だと
自然に換気がされていたので、
換気量も換気回数もあまり考える必要がありませんでした。
しかし、気密性能の重要性が問われ
その当時と比べると
空気の漏れが少なくなってきてしまっているので
換気についての把握も必要になってきているのが現状になっているということです。
今回は少し、公式もでてきてより専門的な知識だったのではないでしょうか。
応用として最後に例題を!
興味のある方はぜひ解いてみてください。
室内に7人滞在しているときの
必要な換気量はいくらか。
条件:1人あたりの二酸化炭素 排出量 0.02m³/h
大気中(外)の二酸化炭素の濃度 300ppm
室内の二酸化炭素の濃度 1000ppm
※1ppm=0.000001%
以上の時の換気量を求めてみると・・・・
(300/1000000)×Q+7人×0.02=(1000/1000000)×Q
Q=(1000000/700)×7×0.02
=200(m³/h)
上の空白をスクロース選択すると答えが出てきます!
〜イベント情報〜
9/26(土)、 9/27(日)
【絶賛受付中です!是非、快適を素肌で。】
イベント情報 ご予約・詳しくはこちら
10月1日をもってアーキテクト工房Pureも17期に入りました
早いですねあっという間の16年間だったような気もします
さて、その17期初日に日本VOC測定協会主催のセミナーを聴講してきました
テーマは
『快適な室内空気環境の実現を目指すには―室内VOC問題は解決されたか』
この日本VOC測定協会の存在は知っていたのですが
今回事務局をされている光輝建設㈱澤田社長より直接お電話をいただき
是非、セミナーに参加してほしいとの依頼を受けての参加となりました
建物の高気密化が進むにつれて化学物質が問題になっていくことは間違いないので
私にとっては興味のあるセミナーでした
VOCて何?
家の中には壁や床に使われる建材や塗料、接着剤などにも化学物質があり家具
カーペット、カーテンや洗剤、化粧品などの日用品や洋服などにも化学物質は含まれています。
代表的なものとしては、ホルムアルデヒドやトルエン、キシレンなどがあり
これらの化学物質を揮発性有機化合物=VOC(Volatile Organic Compounds)と言います
よく聞く言葉としては『シックハウス症候群』皆さんは聞かれたことはないですか?
「シックハウス症候群」とは新築の家、リフォームしたばかりの家に入居した後、
「目がチカチカする」「頭やのどが痛い」「めまいや吐き気がする」
などの症状が出て、体の調子が悪くなる病気のことを言います
実は私の以前住んでいた家も28年前に新築をし入居後すぐに
母親が「頭が痛い」と言い出して病院に通っていたのですが
原因がわからずそのうち頭の痛いのも治りましたが、おそらく
その頭痛の原因がVOCだったのは間違いないかと思っています
その後TV、雑誌などで「シックハウス症候群」という言葉をよく聞くようになり
平成15年7月1日より建築時基準法が改正され
シックハウスの原因となる化学物質の室内濃度を下げるため、
建築物に使用する建材の規制・24時間換気設備の設置が義務付けされ現在に至っています
今回のセミナーとしては
北見工業大学准教授 高井和紀氏による
「測定例から見たVOCの現状」
北見工業大学名誉教授 坂本弘志氏による
「VOCに関わる換気で知っておきたいこと」
上記のようなセミナー内容です
高井先生の「測定例から見たVOCの現状」のお話の中で
VOCを測定することは人間でいうと健康診断を受けているのと同じことだと言われていました
まずは現状を知ること問題なければ《良好で安心》
問題があれば《対策してそして安心》
VOCの測定方法としてはアクティブ法とパッシブ法の2種類があり
日本VOC測定協会ではアクティブ法による分析をおこなっており
・アクティブ法測定方法は
吸引ポンプを用いて室内の一定量の空気を吸引し、
吸引入り口に取り付けた捕集管で採集するものを分析を行う方法で
測定された結果に対する信頼性は高いといわれています
・パッシブ法の測定方法は
VOCを捕獲する専用のサンプラーを室内に吊るして測定
大きな違いはアクティブ法では30分
パッシブ法では24時間なる測定で時間が大幅に異なること
その結果、アクティブ法ではVOCの最大濃度
パッシブ法では平均的濃度の測定となる
費用等の面からもパッシブ法の方がよく採用されているような話ではありましたが
信用性の面から見ても日本VOC協会では8物質を分析している
アクティブ法の方がやはり安心かなと思いました
が、全国でどのくらいの件数を分析されているかというと
2018年では全国で60件くらいしか分析依頼がないとのことで
意外と少ない印象を受けました
東北・四国・九州エリアではアクティブ法での分析依頼は全くないとのこと
(各会社でパッシブ法での分析しているところはるのかもしれませんが?)
分析結果はどうなっているかと言うと
国の決めている指針値をオーバーしているのも減少しているようで
つかわれている建材がF☆☆☆☆だったり24時間換気が機能しているのではないかと
思われるようですが、意外に指針値オーバーの原因として
建物の完成時に行う美装で使う床クリーナーや床ワックスなど
又は完成後に持ち込まれたカーテンや家具類からの指針値オーバーが多いらしいですね
いくら施工業者が使う素材等を気を付けていても施主さんの持ち込まれる家具などがあげられるようです
では、数値がオーバーしていた場合はどのような対策をとるか?
1.自然放散(換気をしっかりして経時変化で数値を下げる)
2.べークアウト(2日間室温を30℃まで温度を上げて強制放散させる)
VOCは揮発性有機化合物なので揮発してしまうと数値は下がるので
24時間換気がとても大事になるようです
まとめとして
VOC測定を行って安全・安心を手に入れましょう
引き続いて坂本先生の「VOCに関わる換気で知っておきたいこと」では
1.現在の換気設備が抱える問題点とは
2.熱交換換気についての知っておきたいこと幾つか
3.換気に求められる住宅の気密レベルは
4.第3種換気での室内に生じる負荷の大きさ
5.室内のVOC濃度と換気回数の関係は
6.換気回数0.5回/hの根拠とその是非は
7.給気型第2種換気は何故普及しないのか
この7項目の話をされました
私が特に気になったところは
3.換気に求められる住宅の気密レベルは
アーキテクト工房Pureの気密レベル0.1~0.2㎝/㎡だとなんの問題も無し
5.室内のVOC濃度と換気回数の関係は
一般住宅では室内の炭酸ガスの許容濃度1000ppm以下に保持する上で
換気回数が0.5/hとすることが建築基準法施行令に定められているが
シックハウス新法における一般住宅の換気回数0.5回/hも
これに準拠して定められたものと考えられ
この換気回数0.5回/hに関しては、その能力を有する機械換気設備を設けるものであって
換気回数0.5回/hが確保されているかどうかの検証は
義務付けされていないのが最大の欠点であり、盲点となっている
VOCのことだけで言うと換気回数は0.5回/hでの換気回数の方が
VOC濃度の低減化に対して極めて有効であること
VOC濃度だけのことで言うと換気回数は0.5回/hが良いが
熱損失だけで言うと当然でしょうが0.3回/hの方が良くなり
もともとVOC濃度の少ない室内環境であれば熱損失を優先させる方が良いのでは?
と言うことになるのでしょうか?
どちらにしてもVOCの測定を行って安心して換気回数も調整できる方がベストと言うことですね
坂本先生のお話は非常に解りやすくアーキテクト工房Pureが普段気を付けて施工していることなどが
当てはまっている項目も多くて安心はしましたが
いくら自然素材を使っていても接着剤とか持ち込み家具などで
VOC濃度が指針値を超えていない確証は得ないために
今後はVOC濃度の測定も行っていく方向で検討したいと改めて思いました
もう少しVOCのことを勉強して今以上の安心できる建物を建てていきたいと考えました
良いお話を聞かせていただきありがとうございました(^^♪
高岡でした