7月に入り梅雨明けはまだか、まだかと楽しみにしていますが
もうしばらくは先ですね!!
アーキテクト工房Pureが建てている建物の性能を
パッシブハウスや高性能住宅以外建てなくなって9年目に入ろうとしています
あっという間に月日は経ってしまいますね!!
すべての建物を高性能にすると決めたときから使用禁止としている材料が沢山あります
その中に現場発泡断熱材も〝使用禁止材料”としています
一般的によくいわれている呼び名で言うと
『現場発泡ウレタンフォーム』という断熱材です
実は8年前までほとんどの新築住宅で使っていました
何故、使用禁止としたのか?
この理由を書いてみたいと思います
アーキテクト工房Pure設立当時は
LIXIL(旧トステム社)の断熱パネルを使って施工していましたが
建物のデザインが複雑になった場合には特注パネルが増えて
断熱パネルの金額が高くなってしまいます
そこで他の工務店さんより現場発泡ウレタンフームの業者さんを紹介していただきました
断熱性能は断熱パネルと比べると若干悪くなる場合もあるのですが
断熱の厚みを増やすことにより調整することが可能
価格の面でも現場発泡吹付の為どんな複雑な形でも割増し価格になりにくい
そして気密性もそれなりに出せると言う理由で多くの現場を
現場発泡ウレタンフォームで施工してきました
コラムにも書いていますが2009年に私が初めてパッシブハウスに出会ました
その時パッシブハウスに使用されていた商品が
トリプルサッシ・付加断熱・ウッドファイバー断熱材
初めて目にしたものばかりでカルチャーショックを受けたのを覚えています
工事途中の現場も視察させて頂きましたが現場発泡断熱材を使っている現場はどこもなく
ウッドファイバー・セルロスファイバー・ロックウール・EPSこの種類の断熱材ばかりでした
〝何故、断熱も気密も出しやすいのに現場発泡ウレタンフォームは使わないのだろうね?”
と視察中も一緒に行っていた仲間と話した記憶があります
その後どうしても気になったので視察ツアーの案内をしてくださった
環境ジャーナリスト村上敦さんに
『ドイツでは現場発泡ウレタンフォームは使われていないのですか?』
とメールを送りました
しばらくたって村上さんより返信のメールが届き書かれていた内容は
『作業をするスプレーマンに健康被害があって地球環境にやさしくないものを使う理由がわからない』
この様な答えが返ってきましたが、当時は環境先進国ドイツの人が言いそうなことだな
と軽く思っていたくらいでした
2009年よりパッシブハウスに興味を持ちドイツ・オーストリア他に
森みわ氏企画のパッシブハウス視察ツアーに毎年参加していました
その時森さんに質問され言われて事
『高岡さんはどの位な家の性能を建てられていて、断熱材は何を使われているのですか?』
この内容に私は自信をもって
『次世代省エネ基準をクリアした建物しか建てなくて断熱材は現場発泡ウレタンフォームで施工している』
と答えると森さんからは
『日本の省エネ基準で断熱材は 石油 ね』
と軽く言われたことを鮮明に覚えています
現場発泡断熱材はスプレーマンにも環境にもよくないのは解りつつも数年がたち
なかなか違う素材にすることができませんでした
パッシブハウスでアーキテクト工房Pure社屋が完成した年に
OBのお客様より増築の依頼を受け工事にかかりました
その時増築部分の壁を撤去するのですが壁の中には現場発泡ウレタンフォームが
びっしりと柱、間柱、土台、桁、そして構造面材に吹き付けられ削り取らなければ
撤去することが出来ませんでした
増築の建物は築5年位で本来なら壁の中の木材は紫外線にもさらされてないので
くぎ穴とかかぎ込みとかは有っても増築のために使用する補強材などには再利用できるのですが
発砲ウレタンフォームがびっしりと木材にこびりついており再利用しようと言う気持ちにはなりませんでした
又、取り外した木材はアーキテクト工房Pure事務所にも設置している
薪ストーブの薪として使うこともできるのですが燃やすとガスがでる
現場発泡断熱材がこびりついている木材などは産業廃棄処分するしか無い
この増築を依頼していただいたOBさんのおかげで数年間悩んでいたことが解決し
現場発泡断熱材は新築の場合『使用禁止』とすると決断いたしました
現場発泡断熱材を使用禁止として数年経ちました
現在使用している断熱材はロックウール(密度60㎏)・ウッドファイバー・EPSなどを標準として
調湿気密シートを室内側には施工し気密を取っています
現場発泡断熱材を吹き付けた後の仕上がりを見ても美しいとは思わなかったですが
ロックウール・ウッドファイバーの充填断熱施工後はとても美しく見えます
OB様よりもご自身の自邸建築途中の写真をInstagramで〝断熱美”とUPされているくらいで
どんな人が見てもこれなら暖かくなるのはわかるとまで言っていただけます
決して石油系の断熱材を嫌っているわけではありませんが
いつの日か建物は解体され取り壊される時が来ますがそれまで住んでいる方は快適に生活でき
解体後には使用されている木材などが再利用され少しでも地球環境に優しい
そんな家づくりを続けて行きたいですね(^^♪