家づくり・建築知識
STAFF BLOG

セルロースファイバー・ウッドファイバーは気密シートなしでも大丈夫?

2月も半ばになると河津桜(カワヅザクラ)が咲き始め、春の気配を感じるようになりますね

一方でこの時期、住宅相談で増えてくるのが

「高断熱住宅なのにカビ臭い」

「壁の中で結露していると言われた」

というお悩みです

最近はネットニュースでも

断熱施工のミスによる結露・カビトラブル

の記事を見かけることが増えました

アーキテクト工房Pureでも実際に住まわれている方からの相談があり

さらに「高断熱住宅の結露・カビ徹底対策」の資料を社内共有したことで

改めて“自然素材断熱材の正しい使い方”を整理してみました

特に考えたのが

セルロースファイバーやウッドファイバーは調湿するから

気密シートは不要なのでは?

半分正解で、半分は大きな誤解ではないかということ

【重要】結露の原因は湿度ではなく「空気の動き」

壁内結露は次の現象で起きます

室内の水蒸気が壁の中に入り、冷やされ水になる

ここで重要なのは湿度の高さではないと言うこと

結露の本当の原因

  • 水蒸気量 → 問題ではない

  • 水蒸気の侵入速度 → 問題になる

特に危険なのが
隙間からの空気移動(対流)

住宅の結露事故の大半はこれが原因ではないでしょうか?

セルロースファイバー・ウッドファイバーの「調湿性能」の誤解

自然素材断熱材は確かに湿気を吸放出すると思います
しかしここに大きな落とし穴があるのではないでしょうか?

調湿が効くのは「拡散」だけ

湿気の移動 スピード 調湿材の効果
水蒸気拡散 非常に遅い 効く
空気移動(隙間風) 圧倒的に速い 効かない

空気移動は拡散の数百倍の水分を運びます

例えば

室内20℃・湿度50%の空気が壁内5℃に到達すると

調湿する前に一瞬で結露

つまり

調湿する断熱材 = 結露しない
ではなく
調湿する断熱材 = 結露を遅らせるだけ

と言うことになります。

気密シートなしの断熱施工で起きること

冬型結露(壁内結露)

室内 → 壁内侵入 → 露点 → 含水 → カビ → 構造劣化

夏型結露(近年急増)

外気湿気 → 冷房面で結露 → 石膏ボード裏カビ

最近の「新築なのに臭う家」は

夏型内部結露が原因のケースが増えています。

「透湿する家」と「気密が弱い家」は全く別物

種類 意味
透湿設計 計画された湿気移動
気密不足 予測不能な空気侵入

自然素材断熱材は

高気密で初めて性能を発揮します

ヨーロッパで可変透湿気密シートが標準な理由

ドイツやスイスでは
セルロースファイバー・ウッドファイバーと

可変調湿気密シートがセットで使われます

役割

  • 冬:湿気を止める(防湿)

  • 夏:壁内の湿気を室内へ戻す(乾燥)

断熱材 = 湿気のバッファ
シート = 湿気の制御装置

この組み合わせで初めて成立します

自然素材断熱材の結論

セルロースファイバー・ウッドファイバーは
とても優れた断熱材だと思います

しかし条件があり

空気が動かないこと

気密がない場合

調湿 → 吸水材化

蓄湿 → 乾かない

カビ → 性能低下 → 劣化

という逆転現象が起きます

アーキテクト工房Pureの考え方

私たちは

自然素材だから安心
ではなく
建築物理として成立しているか

を最優先と考えています

必要なのは

調湿する断熱材 + 制御する気密層

見えない部分ほど

「思想」と「科学」が必要ではないでしょうか

家は材料ではなく

仕組みで性能が決まる建築物

確かに気密シートを省略すればコストは下がりますが
昨今の日本の高温多湿な夏を考えると

可変調湿気密シートは贅沢品ではなく必需品

ではないでしょうか?

この記事を書いた人
高岡 文紀

代表取締役

高岡 文紀Takaoka Fuminori

内子町 出身/1961年2月7日生まれ/1級施工管理技士、2級建築士、省エネ建築診断士

高性能な家造りが大好きワクワクドキドキしながら毎日が楽しみです。こよなく吉田拓郎を愛しギブソンJ-45、ヤマハL-8を弾きながら拓郎歌ってます。アウトドアキャンプが大好き自然の中で楽しい時間を過ごしてます。

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